昨年・今年と大地震が続いています。この地区にも東海大震災が起こる可能性が高く、木造建築に住む方にとっては大変興味のある点だと思います。
地盤のくずれなどで建物自体が完全に崩壊してしまう場合は別ですが、伝統木造建築の木組みの家は、木の特性をうまく利用して組んでいるため、柔軟に地震力を受け止め、また復元するしなやかさを持っています。ですから傾いたとしても、建て起こして使うことができるのです。近年の建物はたしかに免震・耐震構造に長けたものが多く、木組みの建物よりもずっと強く固く作ってあります。例えていうと、地震の揺れに対し柔らかく受け流す(制震ー木組みの家)のと、揺れに対抗しつづける(耐震ー鉄筋コンクリート構造の家)という2つの技術の違いと考えてください。
昨年の新潟地震調査報告によると、「最初の揺れで大きく傾いたのに、次の余震で元に戻った」古い木造家屋の例があげられています。揺れによって家が傾けば、漆喰ははがれますし、土壁は崩れます。しかし、建物の骨格となる柱や梁が折れていなければ、壁や屋根は修復できるものであり、直せばまた住むことができるのです。強く固く作られた家は一度傾いてしまうと元に戻ることはほとんどなく、壊して建て直すことになります。
また、地震の時にタンスや本棚などの家具が倒れてくることによる被害も多くあげられます。
大針ビレッジの特徴のひとつに「作りつけ家具」があります。これは建物と収納家具が一体になった構造と考えてください。入居後家具を持ち込まず、作りつけ家具のみを使っていただければ、倒れてくる危険物は減るはずです(棚上部には軽くて落ちても安全な物を置くことが望ましい)。
木造建築物は、最新技術を使ったビルのような建築物と比べても、現在では構造計算がなされており簡単には傾くようなこともありませんので安心です。
地震国日本では大昔からいくつもの大きな地震を乗り越えてきました。ここ何年かの大地震では、しっかり作られた木造住宅が倒れずに残っていた例が多くあり、伝統木造建築は、耐久性の面から環境にもやさしく、永く住まうことができる点で今また見直されてきているのです。